ハルジオンという花は見た目こそか細くてひ弱そうだが非常にちゃっかりしていて、咲けそうな場所があったら咲きにいくような花だ。
たとえば誰かが家を取り壊して土地を更地にして、3ヶ月そのままにしておいたらその空き地はあっというまにハルジオンだらけになる。いや1ヶ月でなるかも。道路脇のコンクリートとコンクリートの間にはさまった微妙な土部分とかにも余裕で生えるし、どこにでもいきなり生える。
そうしてどこに生えるときだって、急に帰省した地主の娘みたいにしれっとして、細い体をふらふらと風に揺らしながら、元々そこは自分の貸していた土地だよと言わんばかりに根付く。ほんとうにいつも気付いたらいるし、結構背の高い花なので、なかなかびっくりする。とても強くて、おもしろい花だ。
わたしの家の裏も、最近まではそうでもなかったのに、いつの間にかハルジオンだらけになっていた。
わたしはびっくりしてそのことをすぐ母に話したのだけれど、
「ハルジオンてなに?」
とすっとぼけたことを言われてしまった。
あれだけどこにでも咲くような花を母が知らないはずもなく、ムキになって説明したら母はすぐに頷いてくれたが、そのあと得意げに、
「ああ、ビンボウグサね」
となんか悪口みたいなことを言い出した。
貧乏草だなんてそんな気の毒な呼び方は完全にないわと思ってずっと笑っていたら、こんどは母がムキになって「いやその花はほんとうにビンボウグサだ」と言い張る。だんだんちょっとした口論みたいになってきてしまったので、ネットで調べてみると、
【ハルジオンはキク科ムカシヨモギ属の植物。ビンボウグサ、ベンジョグサと呼ばれることもある。】
とのことだった。
母ははじめこそ「ほらね」とでも言うつもりでいたのであろうが、『便所草』という更にひどい別名があることを知るとこれ以上何も言えなさそうな顔をしていた。わたしもとてもしんみり気持ちになった。
たしかわたしが中3くらいのとき、バンプオブチキンが好きで『ハルジオン』という曲をよく聞いていたが、あの歌はとてもいい歌なので、これを読んでくれているハルジオンの方がもしいたら、ぜひ聞いてみてください。
自分も貧乏草って言葉を見るまで何の花かわからなかったよ。地元では白いのが貧乏草でピンクのが幸せ草って言ってたな。
返信削除駿さん
削除もしかしたら貧乏草って呼ぶのの方がメジャーなのかもしれませんね!
ピンクが幸せ草なの知りませんでした、貧乏ながらも幸せな暮らしのことについて考えてしまいました。