2013年4月24日水曜日

明日の煙


人が煙草を吸うところがすきだ。
それから、喫煙者に煙草を吸うことについて聞くのもすきだ。
それはどんな味なのか、とか
日に何本吸うのか、とか
はじめて吸ったのはいつか、とか
どうして吸いはじめたのか、とか。

いままで聞いた統計だと、たとえば「どうして吸いはじめたのか」という質問には、「かっこつけたくて」という回答が多い。特に男の人。女の人だと、「昔の恋人の影響で」「ストレスで」という回答が多い。
いずれにせよ人が煙草を吸う理由は、それほど多様ではない。

わたしは煙草を吸わない女だ。
煙草は、いちいち持ち歩くのや買い足すのが面倒臭そう。だから喫煙者になりたいと思ったことはない。
それに、やめたくてもやめられなくなってしまうのが嫌だ。煙草をやめられない状況というのは、いつまでも昔の恋を引きずって、同じ失敗を繰り返すことしかできない状況に似ている。だから、いやだ。そんなふうになりたくない。
そもそもわたしには、煙草など笑っちゃうほど似合わないであろう、あんな格好のつくものは。

だけど、いつかわたしにも煙草を吸う日が訪れるような気がしている。
たとえば5年後、家族と離れて、恋人もないままひとりだったら、わたしは煙草を吸っているだろう。
多くは吸わないであろうが、一日に一本くらい、夜中に部屋で、ひとりで、ろくに服も着ないまま、吸うのだろう。

吸い始める理由は、わたしの場合はなんだろう。大した理由はないんだろうけど。そもそも吸うかもわからない。これはあくまで予想の話であって。
なんとなくね、煙草の煙がくゆって、ぼんやりと広がっていくみたいにして、そんなふうに予想できたという、ただそれだけの話。

おやすみなさい。










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